ヒトカタノオウ〜アカシヤノクニ〜

メーカー Prefab
山に囲まれた鳴守の地に伝わる、まことしやかな噂がある。

ひとつ、
 深夜零時に白縄神社の鳥居を潜ると、誰か一人がいなくなる。
ふたつ、
 開発区の工事現場がずっと完成しないのは、奉ってあったお社を壊した祟り。
みっつ、
 八坂屋敷の森に無断で入ると、必ず麓の県道に出てしまう。
よっつ、
 新月の夜に上津橋を渡る時、振り返ると鬼に遭う。
いつつ、
 白縄川の流れには、地図に載ることのない名も無き橋がある。
むっつ、
 ヨルサカサマに逆らうとバリバリと喰わされる。
ななつ、
――――――――――――――――
――――以上、鳴守六不思議。

それは夏の夜の夢から始まった。

欠けてしまった夢の中で覚えているのは、ほんの僅かな幼い思い。吊り橋が揺れる対岸で、真白の髪の彼女が寂しげに微笑んだ。伝えなければいけない言葉を捜しているうちに、ふと目が覚めてしまう儚くも血に塗れた夢。夢が意味することが何なのか、それすらもわからぬままに、主人公は夏の巡りを夢で知る。

ようようにして思い出せたのは、ミズハという少女の名前。歪なその夢は、年月を重ねるごとに鮮明になっていた。

何も知らず、何もわからないまま、主人公は日々の日常を生きていた。屋敷を取り仕切る咲月は相変わらずの様子で愛想もなし。新しい家族の奈緒は世間知らずで恐いものなしで、少し危なっかしい。
少し普通とズレた、そんな日常の温かさ。

―――それが、いつまでも続く本当なのだと思っていた。

九天の空に鳴り響く花火の音は、在ったはずの日常の終わりを告げる。
辿り着いた夜の底で、主人公が見る色は誰の色なのか ―――
人と妖の戦いの最中へと主人公は足を踏み入れた。

森厳な屋敷に帰る。日常の裏に在ったのは妖を狩る一族の真実の姿。繋いだ手を抱き続けて、主人公は人と妖の戦いの歴史を知る。

(公式より抜粋)

今回のレビューは非常にまずいネタバレをしていますのでご注意ください。
プレイする前に読んだら面白さを損なう可能性は100%ですので(ぉ




































Profabの処女作であるこの作品は伝奇ノベルとなっており、「アカシヤノクニ」「ヨルノモリ」と対になっている作品です。2つの作品の違いは主人公の立場の違いとなっています。「アカシヤノクニ」では人間側、「ヨルノモリ」では妖側の立場から話を進めることとなり、「もし〜ならば」というIfのケースの話なように感じましたね。

さて、「アカシヤノクニ」の方では人間側の立場で話が進んで行きますが、出てくるのは人間、妖、マガツヒの3つの存在ですね。人間は妖とマガツヒが人間の世界に出てくるのを防いでます。
妖は「アカシヤノクニ」ではよくわかりません(ぉ 「ヨルノモリ」の方で明らかにはなるでしょうけどね。
そして最後のマガツヒは黄泉の国から来たゾンビみたいなものですね。人間や妖を食って生きていくことができる存在。マガツヒに侵食された生物はいずれ死ぬこととなります。そして食われた人間もマガツヒになってしまういうものです。

なんか説明不足だけどいいかな…('A`)

突然、妖との戦争や「マガツヒ」、それを狩るものである「カミヨリ」というものを知ることになった主人公は、自分にはマガツヒを「消す」ことのできる「道力」という力があるということが分かります。そして大量のゾンビが押し寄せてくる「黄泉波」というものが、昔の幼友達である妖だったミズハ(すでに死んだために黄泉の国の住人となったが妖の一族が復活させたが、半端に成功したために体は妖で黄泉の国の住人となってる)が原因で起きそうになっているので、それを止めめるためにミズハを倒す〜といった話の流れになっています。

伏線の張り方もかなりうまいです。奈緒がこけたりお茶をこぼしたり、咲月の電話やフシガミの器の話、主人公の復活した時に見えた鏡やその他にも多々あるのですが、そのために話があったのかとホントに関心しましたよ。

またミカガミの反射の能力には正直びっくりしましたね。まさか攻撃を跳ね返すとか…。ちなみに私はここでこの作品中、一番盛り上がりましたよ(ノ∀`)

…ただちょっと唐突すぎるところもありましましたね。まぁ伝奇ノベルにはよくあることなんですけどね。

他にも回収しきれてなかった伏線や謎もいくらかあったのも目に付きましたね。主人公の「道力」が八阪の男子にしか生まれないという謎、奈緒と仁奈を双子に作った意味、ミズハを黄泉の国から復活させたホントの理由(神器使いを欲した妖の理由)、咲月のキスで洗脳される謎、父親の失踪、火谷木が失敗作をもっていた理由などがよくわからないまま放置されてましたね。そこらへんまで説明してくれたらうれしかったんですがねぇ…。

またテキスト部分で誰がしゃべってるかわからないようにするために、会話している主を表記しないのもよかったのではないかと。視点が切り替わるたびに誰が話しているのかが分からないのが伏線的要素も含んでいますしね。

戦闘シーンはまるでFateのようでしたね。…言い方は悪いですが全体的にType-moonからインスパイアしている様な気がしましたけどね。
だから音、絵、テキストはホントによかったですね。鉄と鉄とがぶつかりあう音、剣の軌道などが見事に表現されていました。またその細かい描写もちゃんと表現されていたのではないでしょうか。

…ちなみにテキストに関していうならば、たまに出る赤文字、テキストの一部が右よりにでたりなどはどう見ても…って感じでしたね。ただ他に技法があるというものでもないのでしょうがないとは思いましたけどね。

絵に関しては、絵の上にかぶせてテキストが表記されるため、綺麗な絵柄がもったいないなぁ…と思いましたね。ただ一部の背景(特に縁側)が妙に違和感を感じましたが、他のものやイベントCGはよくできていましたね。

Hシーンに普通によかったと思いましたね。ただ…

イベントCGの上にテキストがでなければ(´д⊂

音楽に関してはBGMしかありませんが、選曲としてはよかったですね。

総合してかなりいい出来であったといえますね。ただひとつ言いたいのは…

なんでDL販売だけなんだ!?ってことですよ!

正直面白いのにもったいないなぁ…。また2本を対にすることで合計の価格が6000円だから結構高いよなぁ…。




キャラ別紹介(ミズハに関しては対の作品である「ヨルノモリ」で紹介します。)

・黒羽 奈緒…火谷木に作られた妖を狩る「カミヨリ」。話を通じていろいろな痛みというものが分かっていったり、心が成長していく彼女の様はよかったですね。てか剣を持ったときの目つきが怖かった(ぉ
また最後に一言…

奈緒かわいすぎだろ!この一言に尽きます(何

・八阪 咲月…代理当主。女系が権力を持つ黒羽で主人公が男だったために連れて来られた娘。正直咲月は疑問が多いまま終わったような気がしましたね。てか笑った顔が怖かった(またまたぉ

・仁奈…奈緒の双子の妹。この子も謎だらけで終わりましたね。

・火谷木 速夫…ミツルギの複製を作ったり、奈緒と仁奈を作ったりした人。最後の死に方は間抜けです。

シナリオ CG 音楽 Hシーン 私的満足度 総合
25 25 20 20 A 90