PP -ピアニッシモ- 操リ人形ノ輪舞

メーカー Innocent Grey
震災の傷痕もほぼいえた昭和十一年、東京。
二・二六事件を契機に、日本は軍国化の道を歩んでいた。
遠くに柏林(ベルリン)ではオリンピックが開かれようとしていた夏。

神楽坂のジャズバー[CADENZA]でピアノ弾きを生業としていた男がいた。
名は玖藤奏介。妹の柚芭と重荷江戸川橋のアパートで暮らしている。

―そこまではよかった。

翌日バーへ向かうと、マスターの護堂弦一郎から以外な言葉を貰う。

「お前は首(クビ)だ」

人を殺し雇い続けるわけにはいかないと護堂。混乱する奏介。
人を殺しちゃいないと訴えるも、店には置けないとマスター。

―かくして、玖藤奏介は覚えもない罪を着せられることになる。

出頭して無実を訴えることも無謀だった。警察、特高、憲兵と、この時期まともな捜査をしてくれるような組織は皆無だった。

妹の待つ自宅にも戻れず無宿人、破落戸のような日々を送る奏介。

ある時、ちんぴらに絡まれている少女を助ける。
それは狂った芸妓に襲われ、憲兵の追跡を受けているときに彼を助けてくれた少女
―白河綾音だった。

「―貴方が嘘を吐いているようには見えません」

彼の冤罪を晴らすため、共に調査することを約束してくれる綾音。

果たして、奏介の無罪は証明されるのか―。

「―世界というものは、案外単純にできているんですよ」

(公式より抜粋)

結構重大なネタバレを含んでいるため下記のレビューを見る方はご注意ください。一応見えにくくはしてますが…(キャラ別紹介に関しては完全ネタバレ)


































ノベルものに分類される作品で、謎の犯罪に巻き込まれた主人公がその事件を明らかにしていくといった感じなんですが…

導入部で完全にこの作品に惹きつけられましたよ(ぉ

上記にも書いたように事件を明らかにしていくといった感じで話が進むのですが…

綾音の死といったような急転直下な展開が次々と続いていくので、話が盛り下がることなく話が進んでいくのがよかったのではないでしょうか。また日常シーンにおいても久遠の知的レベルの高さや、綾音の確信をつくかの様な推理をしたりとキャラの魅力、個性がよく出ていたように感じましたね。

ただ急転直下な展開はよかったのですが伏線というものがなくホント突然にやってくるのはどうかと思いましたね。唐突な展開をおもしろいと感じることが出来る人もいれば、突然すぎて興ざめると感じる人もいますしね。ただ私は前者なのでそこそこに楽しめましたけどね。

また選択肢が多すぎなのではないのかなぁ…とは思いましたね。読み進めていくなかで選択肢がでると、プレイヤーが流れについていきやすく話に入りやすいといったメリットがありますが、話の流れを止めてしまうことになるのではないでしょうか。この作品ではサクサク読み進めていけるようにしたほうがよかったのではないかなとは思いましたね。しかも選択肢が難しいのもどうかと思いましたね。すべての真実にたどり着けるまでに攻略サイトを利用しないとかなり厳しいのではないでしょうか。

最後までクリアしても分からない点が多々残ったのもどうかなと思いましたね。たこ焼き屋の親父は何者、、またマスターと葵の写真に写っていた子供など、他にも多数放置されていたように感じましたね。
話自体の大きさに流されて、説明仕切れなくなったようにも感じましたよ。まぁ一番の疑問は…

タイトルのピアニッシモというのが何を意味しているのかということですかね。

久遠ルートの最後にて心の弱い者といっているのですが意味がよく分からないんですよね。ピアニッシモとは音楽記号の1つで、ピアノより更に弱くの意味を持っているのですが、主人公がピアノ弾きというのに掛け、心の弱い主人公ということになるのは分かりますが、久遠ルートでは主人公は心を持ち直すことが出来てるようにしかみえないんですよね…。本当のタイトルの意味は別のところにあるような気がしますね。

絵に関しては、作中にあった綺麗な絵となっています。またシリアスな感じもよく出てるような気がしましたね。ただ…

男キャラと悪者キャラの目つきが悪すぎです(ぁ

まぁ目つきのことはさておき、戦闘シーンにおけるキャラの躍動感やカットインの仕様、イベントCGも入れ込んだりと非常に盛り上がるものでありましたね。テキスト表現は稚拙ですが、絵の使い方に関しては稀に見るできなのではないでしょうか?

音楽に関してはピアノ曲が多く使われていたように感じましたね。またその他の曲もジャズ系統の曲で綺麗にまとまっていたように感じましたね。そしてOPムービーに関しては…

OPを入れるタイミングがすばらしいの一言につきます。

まさか綾音が死ぬという衝撃的な展開の後に持ってくることによって、驚愕しつつも物語が本当に始まったんだな…と実感しましたからね。EDに関してはピアノ曲でながれていた音楽に声が入るというものでしたがこちらもよかったと思いますね。音楽に関しては今までプレイした作品の中でも上位に入ると思いますね(かなり私的ですが)。

Hシーンに関しては、エロさは十分に感じられましたが、実用的とはいいがたいですね。Hシーンでも主人公の顔がでてきたり、出てこないものでも尺が短かったりしたりしましたからね。以前にこの作品にHシーンは不必要であるように感じましたよ。もっと言えば恋愛描写なんて入れなくてもいいようにも感じましたけどね…。

話自体はおもしろかったけど、説明しきれていない部位が目立つ部分と、プレイヤーと主人公がシンクロできなかったり、唐突な展開過ぎてプレイヤーがついていけないかもしれないという風にも考えられる作品。まぁひとつの小説を読んでいると思えば誰しもが楽しめるのではないでしょうか?

私は普通におもしろいと思いましたけどね!




キャラ別紹介

・橘 美華夏…主人公の幼なじみ。新聞記者のようです。正直言って彼女の存在って不必要であったんじゃないかなと思いましたね。ちなみにこのルートでは事件の解決には主人公は何もしてないです。美華夏を助けにいったら久遠とマスターがいて、その2人が事件を解決していくという主人公いらないだろって思いましたよ。存在意義の感じないルートその1。ただ事件の謎が少しだけ分かるから一応ありかな?また彼女のルートのみEDに声がつくのですがそれを聞く価値は絶対ありますよ!

・御巫 久遠…天才少女として名前を馳せた事のある少女。
彼女はマスターと同じくこの物語の重要なキャラで、人を狂わせる機械を作ったのが彼女であると分かったときは結構驚きましたね。また彼女が主人公に近づいた理由や、マスターとの関係などを明らかにしていきます。また彼女はすべてのルートをクリアしたあとにでる「Conducter」という章にて姉との関係など詳しく語られているのはよかったのではないでしょうか。作品の核を握っているのは彼女といっても過言ではないですからね。
彼女の言っていた「世界は単純にできている」というのはクリア後に分かるのですが、この事件(作品)に向けて発しているんだということだったんだなと思いましたね。

・高梨 千花…マスターに雇われているウェイトレス。雇われているというかバーに住み着いているんですけどね。ただなんでマスターが雇った(引き取った)のかが理由が不明であったりしましたね。このルートのED千花と一緒に事件やいざこざから逃げ出すというかなりしらける終わり方になっていたので、なんだこれはって感じでしたね。存在意義の感じないルートその2.

・韮崎 瑠宝…主人公のピアノに合わせて歌う仕事仲間。彼女のルートも美華夏、千花と同じく存在意義を感じないルートでしたよ。これで3つ目。

・白河 綾音…探偵小説が好きな女子大生。主人公のピアノを聞いたことで救われたという謎の理由で主人公の無実を証明しようとするんですが…
まさか主人公と結ばれた次の朝に死んでいるなんて!

伏線とかもなくホント突然でしたが、これには驚かされましたよ。まぁ「Conducter」ルートで分かることなのですが、実は久遠が仕向けたことと分かったときもまたまた驚きでしたよ。すべてのルートをクリアした後に出るルートで彼女が死なないというIfルート(まぁご都合主義ルートといってもいいですが)では彼女が幸せになれてホントよかったと思いましたね。そうじゃないと殺されるだけに出てきたキャラということになってしまうので…。

・玖藤 柚芭…主人公の妹。主人公を好きになった理由が一番明確に描かれていましたね。幼少期に兄と過ごさないことによって家族ではなく一人の男として見るようになるということのようですが、彼女を受け入れたときのルートが妙に印象に残ってますね。まさか…
Hばっかりしている間に入ってきた侵入者に殺されるという
むざんな終わり方でしたからね…。救いも糞もありませんでしたよ。またこのルートも事件と関係なかったり存在意義の感じないルートその4.

・マスター…この物語の重要キャラ。戦闘シーン、「Condecter」ルートにおけるキャラがホントかっこよかったです。ちなみにこれがいいたかっただけ(何

こう考えたら綾音、久遠、マスター、主人公だけでもシナリオ自体は十分に成り立つんじゃないのかなと思いましたよ。

シナリオ CG 音楽 Hシーン 私的満足度 総合
20 25 25 15 A 85